0806

雑誌を漁り、人間の生態を知ろうとしている。僕の右隣左隣には様々なパパ層が息子ないし娘を待たせておきながら自分は「趣味の男のライフスタイル辞典」に目を落としている。男はなりたい自分になろうと努力をしているのだろうか、それともなりたい自分という唯一無二なる存在を探究することに疲れ果て、「趣味の男のライフスタイル辞典」に真なる明快な答えを求めているのか。僕はひとりの娘に綿と向き合って言った。状況から言って手を差し伸べてみると、おそらく向こうも状況からでた行動なのか、手を差し出し返してきた。熱心なお父さんだね。君はこんなコーナーにおらずとも、もっと素晴らしい本が並んでいるところで素晴らしい本に出会ってる方が有意義だと思う。ここにいることは君に何も与えない。もちろんお父さんは悪くない。お父さんは必死なんだ。フレッドペリーのポロシャツがよく似合っているお父さん、キャンピング特集に組まれたクーラーボックスの価値を値踏みしているお父さん（そんなことしてなんになるのだろう。）君と同じようにあの人もまだ生まれたばかりなんだ